ミニトマトに見られる「黒っぽい」現象は、多くの場合、栄養不足や病気などが原因で起こることがあります。
ミニトマトが黒っぽくなっている場合、「食べてよいのか」不安になるものです。
黒っぽくなる状態はひとつではなく、「ミニトマトのお尻が黒っぽい」「実に黒い斑点が入っている」「全体的に黒っぽい」など、複数の症状があります。
本記事では、複数あるミニトマトの黒っぽい症例ごとに、黒くなる原因とあわせて「食べられるか否か」について紹介します。
ミニトマトの生育障害で黒っぽくなる
ミニトマトが黒っぽくなっている原因には、「生育障害・生理障害」が挙げられます。生育障害・生理障害とは、ミニトマトを育てている環境によって起こる生長不良です。
「なぜ生育障害が起こるのか」「生育障害で黒っぽくなったミニトマトは食べられるのか」といった疑問にお答えします。
お尻が黒っぽいのは「尻腐れ」
ミニトマトのお尻とは、へたがついている箇所の反対側をいいます。
ミニトマトのお尻が黒くなっている場合は、「尻腐れ」が起きています。
別名を「尻腐れ病」「尻腐れ症」とも呼ばれますが、尻腐れは病気ではなく生育障害です。
ミニトマトの発育段階でカルシウムが不足すると、尻腐れが発生しやすくなります。
また、水やり量が少なすぎる場合や、窒素(肥料)の与えすぎも、カルシウムの吸収が阻害されるため、尻腐れの原因になります。
一方で、ミニトマトの実を甘く育てるために、水やりの量を極限まで減らす方法があります。
水分量を減らすと実の栄養素が凝縮され、糖度の高いミニトマトができる半面、尻腐れを起こしやすい育て方です。この場合の尻腐れは、実が甘くなっているものもあります。
尻腐れのミニトマトは、黒っぽくなっているお尻の部分を取り除くと食べられます。
食べられないと判断して、捨ててしまわないように注意しましょう。
下記記事では、家庭菜園で水やり量を調整し、ミニトマトを甘くする方法を紹介しています。
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芯周辺が黒っぽいのは「芯腐れ」
ミニトマトを半分に切ったときに、芯が黒っぽくなっている場合は「芯腐れ」です。芯腐れも前述した尻腐れ同様、ミニトマトの生育障害です。
芯腐れが起きるのは尻腐れ同様に、育てているときに、カルシウムや水分、ホウ素が不足していた場合、もしくは窒素を過剰に与えていた場合に起こりやすい現象です。
芯腐れは、地面に近い段に実り、初期に収穫できるミニトマトに発生することが多いとされています。
芯の部分が、黒っぽくなって芯腐れを発症しているミニトマトは、芯の黒い部分を取り除けば食べられます。
表面に黒い筋がある場合は「すじ腐れ」
ミニトマトの実に黒い筋や白い筋が入っている場合は、「すじ腐れ」です。白い筋は、実の表面に、褐色のあざのようにあらわれることもあります。
ミニトマトがすじ腐れを起こす原因は、生育中の日照不足です。
日当たりのよい場所で育てていても、葉が大きすぎる・茂りすぎていると、ミニトマトの実に存分に光が当たらずに、すじ腐れを起こします。
人間が与える肥料に含まれている窒素が多すぎると、茎や葉が茂りすぎる「過繁茂」を起こし、すじ腐れにつながります。
すじ腐れの症状なら、該当箇所を取り除けば食べられます。
しかし、表面にできた筋の割れ目に黒い斑点がある場合は、黒カビの可能性があります。黒カビは人体に有害なので、食べるのは控えましょう。
病気が原因で黒っぽくなっている
ミニトマトが黒くなる原因のひとつに、病気になっているケースがあります。ここでは「黒斑病」「炭疽病」についてお伝えします。
表面に黒い斑点がある場合は「黒斑病」
ミニトマトの実に黒っぽい斑点が出ている場合は、「黒斑病」という病気が考えられます。
ミニトマトが黒斑病になる原因は、栽培中の高温多湿によるカビです。
黒斑病は葉や茎から発症し、そのまま育てるとミニトマトの実にも黒っぽい斑点の症状が出ます。
葉や茎に黒くて水っぽい斑点が発生したら広がる前に、速やかに斑点があらわれている箇所を取り除きましょう。
実を収穫するときに黒斑病にかかっている場合、原因となるカビそのものは人体に害をもたらしません。
そのため、該当部分を取り除けば食べられますが、カビアレルギーの人は食べることは避けた方がよいでしょう。
凹んでいる黒い斑点は「炭疽病」
ミニトマトの実に、凹んでいる黒い斑点がある場合は「炭疽病」です。症状が進むと斑点が大きくなり、黒くなっている部分が凹んでいきます。
ミニトマトが、炭疽病になる原因は、黒斑病と同じく、栽培中の高温多湿によるカビです。
炭疽病は、生育中の葉や茎から発症する黒斑病と異なり、生育中のミニトマトの実から発生します。
栽培中に炭疽病の症状がある実を見つけたら、症状があらわれている実を速やかに取り除き、薬剤を散布しましょう。
炭疽病のミニトマトは、黒い斑点になっている部分を取り除けば食べられます。
しかし、カビによる病気なので、黒斑病同様、カビアレルギーの人は食べずに避けた方がよいでしょう。
実に黒い穴が開いていたら「害虫」の可能性
ミニトマトの実に黒い穴が開いていたら、害虫に食われている可能性があります。
ミニトマトの実を食べる主な害虫は、タバコガ・オオタバコガ・ハスモンヨトウなどの幼虫です。これらの幼虫は、ミニトマトの茎や実に入り込み、食害をもたらします。
黒い穴が開いているミニトマトは、該当部分を取り除き、ミニトマトの中に虫がいなければ食べても問題はありません。
しかし、虫の糞や細菌が実に付着している可能性があるため、食べない方がよいでしょう。
全体的に黒っぽく変色している場合は「腐敗」
ミニトマトの実が全体的に黒っぽく変色している場合は、腐敗している可能性があります。
ミニトマトやトマトは、完熟する頃に最も糖度や栄養素が高くなっており食べごろですが、完熟させすぎてしまうと腐敗が始まり、実が黒っぽく変色します。
腐敗したミニトマトやトマトは、柔らかくブヨブヨした感触で、生ごみのようなにおいや、通常にはない酸っぱいにおいがします。
黒っぽい色や感触、腐敗していないかにおいで判断しましょう。
赤色のミニトマトやトマトの場合、完熟すると実が鮮やかな赤色になります。
全体的に黒く変色している場合は、腐敗しているため、食べるのを避けましょう。
なお、ミニトマトの品種の中には、「ブラックチェリー」や「インディゴ・ローズ」など、元々黒い実をつけるものもあります。この場合は実が黒くても、生でおいしく食べられます。
ミニトマトが多く手に入っても、すぐに使いきれないと腐敗してしまいます。下記の記事では、ミニトマトを長く楽しむための、正しい保存方法を紹介しています。
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種周辺が黒っぽいのは「完熟」しているしるし
ミニトマトを切った際、種周辺が黒っぽい・紫っぽい・濃い緑になっている場合は、完熟しているしるしです。
ミニトマトやトマトが完熟すると、タイミング的に食べごろです。しかし、言い換えると完熟は腐敗の手前でもあるため、熟しすぎているものは腐り始めている可能性があります。
種周辺が黒っぽくなっているミニトマトは、完熟か腐り始めかを見極める方法は以下のとおりです。
- 通常にはない酸っぱいにおい・生ごみのようなにおいがする
- 皮がしわしわでブヨブヨした感触
- 触ると崩れるほど柔らかい
- 実から変な水分が出ている
- 食べたら強い酸味・苦味がある
ひとつでもあてはまる場合は、ミニトマトが腐っていることが考えられるため、食べるのをやめましょう。
あてはまらない場合は、腐っておらず「完熟している状態である」判断して、食べても問題ありません。
一粒ずつ手間暇かけて育てられる青果圃のミニトマト
スーパーや青果店などで販売されるミニトマトは、店頭に並ぶ前に検査されるため、黒っぽいものはありません。
厳選された栽培環境と熟練の技術で育てられて出荷される青果圃のミニトマトは、一粒ずつていねいに収穫・箱詰めされているため安心です。
青果圃では、フルーツのような甘さのミニトマト『あかしずく』と、甘味と酸味のバランスがよい『あまこぼれ』を扱っています。どちらも樹上で真っ赤になってから、一粒一粒ていねいに収穫されています。
青果圃のミニトマトは、最高の糖度と栄養を保つために、私たちは糖度選果機を導入し、全粒を精密に測定しています。
そのため、果物を思わせるような甘さと、健康を支える栄養がぎゅっと詰まったトマトを一年中お届けできます。
また、そのままの味を生かした「あまこぼれトマトジュース」は、最低限の加熱で完全無添加に仕上げています。
高糖度の「あまこぼれ」が持つ豊かな風味とさらっとした飲み心地を、そのまま味わうことができます。
食卓の一品としてはもちろん、大切な方への贈り物としても最適な青果圃のミニトマトとトマトジュースを、ぜひご堪能ください。
上質な生活を彩る青果圃のミニトマト&トマトジュース。一度味わえば忘れられない、逸品の味をぜひお楽しみください。
ミニトマトが黒くなっている場合の対処法についてよくある質問と回答
ミニトマトが黒くなっている場合の対処法について、よくある質問と回答をまとめました。
質問1. ミニトマトが黒くなっているのはどうしてですか?
回答: ミニトマトが黒くなっている原因としては、生育障害、病気や害虫の被害、腐敗などが考えられます。
なお、一部の品種は元々黒い実をつけるものもあるため、品種の特性も確認しましょう。
質問2. 黒くなったミニトマトは食べられますか?
回答: 原因が黒斑病や炭疽病の場合は、他の部分に異常がなければ、黒い部分を取り除いて食べられます。
しかし、黒斑病と炭疽病はカビによるミニトマトの生育障害なので、カビアレルギーの人は食べずに避けた方がよいでしょう。
黒くなっている原因が害虫や腐敗の場合は、衛生上の理由から、食べられないと判断しましょう。
質問3. ミニトマトが黒くならないようにするにはどうすればいいですか?
回答: ミニトマトが黒くならないようにするには、適切な栽培管理が重要です。
十分な日照、適切な水やり、バランスの取れた肥料の施用、害虫や病気の予防対策を行いましょう。
また、収穫後は直射日光を避けて涼しい場所で保存しましょう。
質問4. 黒くなったミニトマトを見つけた場合、他のミニトマトに影響はありますか?
回答: 家庭菜園で黒くなったミニトマトが、病気や害虫の被害による場合、他のミニトマトにも影響を与える可能性があります。
黒くなったミニトマトは早めに除去し、必要に応じて適切に対処しましょう。
下記の記事では、ミニトマトの育て方として、初心者向けの苗木選びから収穫までを紹介しています。あわせてご覧ください。
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さいごに:ミニトマトが黒くなる原因を把握しておこう
ミニトマトの実が黒っぽくなってしまう原因として、生育障害・病気・害虫・腐敗が考えられます。
「尻腐れ・芯腐れ・すじ腐れ」などの生育障害の場合は、黒くなった部分を取り除けば食べられます。
病気の場合も該当箇所を取り除けば食べられますが、原因がカビであるため、カビアレルギーの人は避けた方がよいでしょう。
黒い穴が開く虫食いや、ミニトマト全体が黒くなる腐敗の場合は、食べられないと判断するのが賢明です。
ミニトマトが黒くなっている原因を把握し、食べられるか食べられないかを判断しましょう。