ミニトマトは一般的に、家庭菜園初心者でも育てやすいといわれています。
しかし、甘くておいしいといわれる「高糖度のミニトマト」を育てるには、細やかな管理が必要になるため、初心者よりも中級者に向いています。
高糖度のミニトマト栽培を成功させるには、甘くておいしいミニトマトの品種を選び、毎日生育具合を確認して、日当たりや水やりの量、追肥のタイミングを見極めます。
本記事では、家庭菜園で甘いミニトマトを育てるために、代表的な品種5種類と、「日当たり・水やり・追肥」のコツ、収穫のタイミングを紹介します。
甘くておいしいミニトマトの品種
ミニトマトの中で、甘い品種を紹介します。
甘い品種の種もしくは苗木をホームセンターや園芸店、インターネットで購入し、栽培に成功すれば、おいしいミニトマトを完熟した状態で、たくさん収穫できるでしょう。
背丈が低く糖度が高い「あまたん」
「あまたん」は、トマトジュースやケチャップで有名な、カゴメが販売しているミニトマトの苗木です。
糖度が高く皮切れがよい、果重5g前後のプラム型のミニトマトが収穫できます。
一般的なミニトマトは、背丈が150cmほどに育ちますが、あまたんは60cmほどと、背丈が低い点が特徴です。
ほかのミニトマトに比べ、葉の凹凸が激しく、やや巻いていますが、生育不良や病気ではないため、間違えないようにしましょう。
あまたんは背丈が低いため、甘くておいしいミニトマトを、ベランダなどで場所を取らずにコンパクトに栽培したい人に向いています。
サクランボのように甘い「つやぷるん」
「つやぷるん」は平均糖度が9度以上で、ワックスを塗ったかのようなつやが特徴のミニトマトです。さくらんぼ形に近い丸型で、フルーツ感覚で食べられます。
薄くてよく伸びる皮なので、食べやすく、栽培時はほとんど裂果しない点が特徴です。
しかし、皮が薄すぎてデリケートな実は輸送が難しく流通に不向きで、スーパーや青果店などで販売されることはほとんどないといわれています。
つやぷるんは、甘さに加えて、ミニトマトの皮が薄い方が好みの人に向いています。店頭で販売できないくらい、デリケートな実を家庭菜園なら楽しめます。
口紅のような赤色で濃厚な風味「ピッコラルージュ」
「ピッコラルージュ」は名前のとおり、口紅のように濃い赤色が特徴のミニトマトです。
果重は15~20gの丸型で、糖度は10度前後の、甘くておいしいミニトマトを栽培できます。
ピッコラルージュは、やや硬めな皮に粘度の高いしっかりした果肉が詰まっており、濃厚な風味が楽しめます。
裂果に強く樹上で完熟させられるため、家庭菜園ならではの新鮮な完熟トマトが収穫できます。
ピッコラルージュの葉は、サイズが中葉で日光に当てやすく、管理しやすい点が特徴です。
しっかりしてハリがある果肉が特徴のピッコラルージュは、甘いミニトマトを育てたい人に向いています。
お菓子のような食感「キャンディドロップ」
「キャンディドロップ」は糖度が12~13度あり、サクッとした食感でお菓子のように楽しめる、プラム型のミニトマトです。
生のまま食べると、ほどよい酸味と甘さで、みずみずしい味わいを楽しめます。加熱調理をすると酸味がまろやかになり、一層甘さが引き立ちます。
実は割れにくく、樹上で完熟させられるため、最も糖度の高い状態で収穫できます。
キャンディドロップは、甘さだけでなく、ほどよい酸味も味わいたい人におすすめのミニトマトです。
オレンジ色がかわいい「こあまちゃんオレンジ」
「こあまちゃんオレンジ」は「あまたん」同様、カゴメが販売しているミニトマトの苗木です。
こあまちゃんオレンジの実は、鮮やかなオレンジ色の丸型で、甘味がとても強い点が特徴です。
オレンジ色は、ミニトマトの実にたっぷり含まれているβカロテンが由来です。果重は17g前後で、樹勢が強いため、多くの収穫量を期待できます。
こあまちゃんオレンジは、スーパーや青果店で販売されている「カゴメ β-カロテントマト」と同系統の品種です。
「カゴメ β-カロテントマト」を食べて気に入った人や、赤色以外の甘いミニトマトをつくりたい人に向いています。
甘くておいしいミニトマトを育てる方法
ミニトマトは家庭菜園の初心者でも、育てやすい野菜とされています。
しかし、高糖度ミニトマトに挑戦する際は、日当たりや水やりに配慮する必要があり、特に水分管理は失敗すると病気になったり枯れたりするため、中級者以上向けといえます。
★内部リンク
№8_ミニトマト 育て方 (ミニトマト 苗木 選び)
・基本的なミニトマトの育て方はこちらで紹介しています。
日当たりがよい場所で育てる
植物は、光合成によって糖をつくりだします。光合成とは、植物が取り込んだ二酸化炭素と水に日光が反応し、糖・でんぷん・酸素を生み出す仕組みです。
光合成でつくられた糖は、葉・茎・根・果実を成長させるために使われます。
そのため、甘くておいしいミニトマトを育てるには、日当たりが重要になります。
甘いミニトマトを育てるには、太陽の光に1日5時間以上当てます。
野菜の中でもミニトマトは強い光を必要とするため、甘くておいしいミニトマトを育てるには、日照不足に注意しましょう。
水やりの量を調節する
甘くておいしいミニトマトを栽培するには、水やりの量を通常よりも控えるように調節します。
植物を育てるには、適度な水やりが重要ですが、水分量を極限まで控えると、ミニトマトは甘い実をつけます。
「ミニトマトの実に含まれる糖分を濃縮する」とイメージするとわかりやすいでしょう。
しかし、注意したいのは、実のお尻部分が黒くなる「尻腐れ症」です。
ミニトマトに与える水分量を減らすと、実のお尻部分が黒くなる「尻腐れ症」になったり、枯れたりする可能性が高くなります。
そのため、甘いミニトマトを育てるために水やりの量を調整する方法は、ミニトマトの生育具合をこまめにチェックし、細やかな水分管理ができる人に向いているといえます。
甘いミニトマトを育てるために必要な水分量
甘いミニトマトを育てるために必要な水分の量は、生長過程や天候によって与える量を変えます。
- 苗を植え付けてから生育が安定するまでは、通常通りに水分を与える
- 生育が安定したら、第1果房の第1果が育つまで水分量を控える
- 天気がよい日は水やりをし、曇天・雨天ではごく少量か行わない
- 雨の日はミニトマトを濡れないようにする
生育が安定した後の水分量の目安は、通常のミニトマト栽培時の半分程度です。第1果房の第1果が育った後は、土壌水分測定計の数値がpF2以上、かつ一定になるように管理しましょう。土壌水分測定計は、ホームセンターや園芸店、インターネットで購入できます。
天気によって、土に含まれる水分量や乾燥具合が変化するため、土壌水分測定計で確認しながら、臨機応変に対応しましょう。
水やりのタイミングと注意事項
甘いミニトマトを育てるためには、効果的なタイミングで水やりを行うことが大切です。
ミニトマトは日が当たっているときに、水分を吸い上げて成長するため、水やりは早朝から、日が出ている間に行います。
プランターで育てる場合は、地植えに比べて土の量が限られており乾燥しやすいため、乾きすぎないように注意しましょう。
甘くておいしいミニトマトを育てるには、適切な水分量が必要です。
土壌水分測定計でチェックしながら、土が湿りすぎず、なおかつ乾きすぎていない、適切な状態を保持しながら、きめ細やかな水分管理を行いましょう。
ミニトマトの生育に合わせた追肥をする
ミニトマトが、甘い実をつけるには、生育途中に肥料を追加する「追肥」が大切です。生育に合ったタイミングで、必要な肥料を追肥しましょう。
とはいえ、肥料を与え過ぎると着果がうまくいかず、実がおいしくならないことがあります。
必要以上に肥料を与え過ぎないようにするには、加減を見極めが必要です。
ミニトマトが追肥を必要としているか、判断する方法をお伝えします。
追肥の要不要は茎と葉を見る
肥料の加減は、ミニトマトの苗の上端から、15cmほど下までの様子を見て判断します。
一般的なミニトマトの健康な状態を、茎の太さは1cm程度、葉はふちが下向きにやや巻いているものとします。
育てているミニトマトの茎の太さや葉の様子を、上述の状態と比べると、栄養を必要としているかで判断できます。
なお、「甘くておいしいミニトマトの品種」で紹介した「あまたん」のように、品種によって苗や茎、葉の健康な状態が異なります。
自分が育てている品種の特性を、あらかじめ把握しておきましょう。
ミニトマトの様子と栄養の状態
ミニトマトの様子からわかる栄養の状態を紹介します。
- 茎が太く節間が詰まり、葉が内側に大きく巻いている:肥料過多
- 茎や葉の軸が細く節間が長い:肥料不足
- 葉色が薄く、上に向かってY字になっている:肥料不足
ミニトマト栽培時に特に注意すべき栄養素はチッソです。上記の様子は、主にチッソ過多・チッソ不足で見られます。
明らかに肥料が不足しているミニトマトには、即効性肥料を与えます。少し肥料を足した方がよいと思うときは、緩効性肥料を与えましょう。
ミニトマトの追肥をする際は、様子を見ながら肥料が必要であるかを判断し、用意した肥料の説明書とおりに与えます。
甘くておいしいミニトマトを収穫するタイミング
ミニトマトを栽培する醍醐味は、樹上で完熟させた実を収穫し、新鮮なうちに食べられることです。
ミニトマトが最も甘くておいしい、完熟したタイミングを判断する方法をお伝えします。
ムラなく濃い赤色になっている
ミニトマトの赤色は、多く含まれている栄養素「リコピン」の色です。
ミニトマトが完熟するとリコピンが増えて、ムラなく濃い赤色になります。甘くなっているミニトマトは、へたの周辺まで実が赤く染まっています。
対して、ミニトマトの実に色ムラがある状態は、熟しきっておらず、水分が多い状態です。
収穫のタイミングがきているミニトマトは、実をつまんで揺するだけで簡単にもぎ取れます。
実がムラなく濃い赤色で、へたがやや丸まっている状態が、甘くておいしくなっているサインです。
赤色以外の黄色やオレンジ色のミニトマトの場合は、実がムラなく色づいているときが収穫のタイミングです。
へたが丸まって反り返っている
へたがやや丸まって反り返っているミニトマトも、収穫できるタイミングです。
完熟前のミニトマトのへたは、通常、ピンとまっすぐになっています。熟してくるにつれてへたが丸まってくるため、実の色で判断できない場合は、へたを見るとよいでしょう。
ミニトマトは完熟すると、へたから実が外れやすくなります。完熟を待っている間に実が落ちてしまわないように注意しましょう。
こだわりぬかれた栽培から生まれる青果圃のミニトマト
青果圃では、ミニトマトの理想的な生育条件を追求し、那須高原の最適な気候のもと「ANSポット栽培システム」を採用しています。
「ANSポット栽培システム」は、ミニトマトの根が健全に育つ環境を整え、栄養価の高い、甘みと酸味のバランスが絶妙なトマトを生産します。
青果圃のミニトマト『あかしずく』の糖度は、12月から5月は11度以上、6月から11月は10度以上を誇ります。
『あまこぼれ』の糖度は、12月から5月は糖度9.5度以上、8.5度以上を保証します。
青果圃が生産・販売するあかしずく・あまこぼれミニトマトは、それぞれの季節に最高の味を提供します。
さらに、あまこぼれから作られるトマトジュースは、トマトそのものの味を大切に、完全無添加で仕上げています。
あまこぼれトマトジュースは、糖度10度以上の豊かな風味が楽しめ、さらっとした飲み心地が魅力です。
青果圃のミニトマトは、自宅での普段使いから、贈答品としても非常に喜ばれる逸品です。
ぜひ、上質な味わいをご家庭でお楽しみください。どんな料理にもマッチする万能性を、あなたの食卓で体験してみませんか?
上質な生活を彩る青果圃のミニトマト&トマトジュース。一度味わえば忘れられない、逸品の味をぜひお楽しみください。
「甘くておいしいミニトマトを育てる方法」についてよくある質問と回答
「甘くておいしいミニトマトを育てる方法」についてよくある質問と回答をまとめました。
環境や栽培条件によって最適な方法は異なる場合があるため、実際には育て方を調整しながら行いましょう。
質問1.甘くておいしいミニトマトを育てるために最適な品種はありますか?
回答:甘さが特徴のミニトマト品種には、「あまたん」「つやぷるん」「ピッコラルージュ」「キャンディドロップ」「こあまちゃんオレンジ」などがあります。
品種によって特徴が異なるので、甘さや風味、育てやすさなどを考慮して選ぶとよいでしょう。
質問2.ミニトマトを甘くするための水やりのコツは何ですか?
回答:苗の生育が安定してから、第1果房の第1果が育つまで水やりを控えると、トマトの中の糖分が濃縮されて甘くなります。
しかし、水分量を減らすと、実のお尻部分が黒くなる「尻腐れ症」になったり、枯れたりする可能性が高くなる点に注意が必要です。
ミニトマトの生育具合をチェックしながら、細やかに水分を管理しましょう。
質問3.ミニトマトの甘さを引き出す肥料の与え方は?
回答:生育に合ったタイミングで、ミニトマトが必要としている肥料を追肥しましょう。
肥料の要不要は、ミニトマトの苗の上端から15cmほど下までの、葉や茎の様子を見て判断できます。
質問4.甘いミニトマトを育てるために必要な日照時間はどのくらいですか?
回答:ミニトマトは生育に強い光を必要とするため、太陽の光が、1日に5時間以上当たる場所で育てるとよいでしょう。
日照不足は、果実の甘さに影響を与えるため注意が必要です。
質問5.甘いミニトマトを育てるための収穫のタイミングは?
回答:果実がムラのない赤色に色づいてから収穫すると、甘さが最大限に引き出されます。
へたがやや丸まっている状態も、甘くておいしくなっているサインです。
早すぎる収穫は果実の水分量が多く、甘さが不十分になる可能性があるので、果実とへたの様子を確認しながら、適切なタイミングを見極めましょう。
甘くておいしいミニトマト栽培に挑戦しよう
家庭菜園で甘くておいしいミニトマトを育てるには、高糖度といわれる品種を選び、日当たり・水やり・追肥など、細やかな管理が必要です。
高糖度ミニトマトの種や苗として販売されている品種は、「あまたん・つやぷるん・ピッコラルージュ・キャンディドロップ・こあまちゃんオレンジ」などが代表的です。
生育の特徴や味わいなど、自分好みのミニトマトを選びましょう。
また、ミニトマトを甘く育てるには、生育状況を確認しながら、細やかな管理をしなければなりません。
とくに、水やりの管理は、失敗すると病気になったり枯れたりするため、細心の注意を払いましょう。
下記の記事では、栽培中や収穫したミニトマトが黒っぽい場合、黒っぽくなる原因と食べられるかについて紹介しています。あわせてご覧ください。
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